急性ポルフィリン症と薬について

「急性ポルフィリン症と薬」についての問合せ

 ポルフィリン代謝障害友の会(さくら友の会)の会員から抱水クロラールとジアゼパム

について、安全と禁忌と両方の記載があり混乱するという問合せがあった。

 急性ポルフィリン症では腹部症状、神経症状、精神障害、循環器障害、内分泌代謝異常

、皮膚症状、肝機能障害、赤色尿など多彩な症状が出現するが、発症・増悪に薬が大きく

関与し、「安全と考えられている」、「危険と考えられている」、「禁忌と考えられてい

る」、「恐らく安全である」などの分類がある。

 多くの論文に「痙攣にはジアゼパム、抱水クロラールなどを投与する」という文章があ

る。私もこれまでに同様のことを報告してきた。抱水クロラールについては「安全と考え

られる」、「危険と考えられる」、「禁忌」という記載がある。また、ジアゼパムについ

てもEuropean Porphyria Networkでは「安全と考えられる」とある。逆に、「誘発因子と

なる」との記載もある。これらは、個体差および症状の度合い、他の薬剤との関係などに

よって当該薬の効果が異なるものと思われ、治療の難しさを示している。同じような薬と

して日本でもよく用いられているシメチジンがある。欧米では「安全と考えられる」薬と

して利用されているが、「危険と考えられる」という報告もある。

 以上から、例え「安全と考えられている」薬であっても、患者さんの状態によっては急

転する場合もある。同じ患者さんでも2度目の使用は危険となる場合もあるので、薬の使

用には十分注意する。一般に肝チトクロームp-450を誘発する薬および副作用として肝機

能障害の記載がある薬は注意されたい。急性ポルフィリン症の薬剤情報発信の難しさを示

している。

 一方、急性ポルフィリン症にはバルビツール酸、カルバマゼピン、フェニトイン、リド

カイン、クロラムフェニコールなどの絶対禁忌薬が知られている(メルクマニュアル

http://merckmanual.jp/mmpej/sec12/ch155/ch155a.html )。

参考文献:日本臨牀第53巻第6号、特集ポルフィリン症、日本臨牀社、1995。

(近藤雅雄:平成28年12月18日掲載)