ポルフィリン症の概要

人間の赤血球にはヘモグロビンというものがあり、呼吸によって体内に取り込んだ酸素を、人体の各器官や組織に運ぶ役割をしています。ちなみに血が赤く見えるというのは、このヘモグロビンに赤い色素が入っているためです。

 さて、このヘモグロビンというのは、実はヘムという赤い色素と、グロビンという蛋白が結合してできたものです。ヘムとグロビンは、全く別の段階を経て作られるのですが、実はポルフィリン症というのは、このヘムという色素を作る過程の異常によって起こる病気なのです。

ヘムは、まずグリシンとサクシニルCoAという物質が結合(重合)し、そこへ8種類の酵素(合成酵素)の変化の段階を経て、最終的にヘムが作られます。(図1:近藤雅雄著『先天性ポルフィリン代謝異常症の現在・過去・未来』より引用)この合成過程における物質をポルフィリン、あるいはポルフィリン体といいます。

 本来このポルフィリンは、速やかに尿あるいは便の中に排泄されて、体内にはほとんど残らないのですが、先程の合成酵素の8段階のうちのどこかで異常があると、本来は蓄積するはずのないポルフィリンが体の中に蓄積(沈着)してしまうことになります。

 そして、ポルフィリンは、光に当たると毒性を持ち(光毒性)、沈着した部分を破壊してしまう働きがあります。もしポルフィリンが皮膚に沈着すると、皮膚を破壊し潰瘍を起こすこともあります。

※図表は近藤雅雄著『先天性ポルフィリン代謝異常症の現在・過去・未来』より引用


■下記サイトもご参考ください

・メルクマニュアル http://merckmanual.jp/mmpej/sec12/ch155/ch155a.html 

ポルフィリン症の種類

ポルフィリン症には、症状でみると大きくわけて二つのタイプがあります。


皮膚型ポルフィリン症…主に皮膚に障害を起こすタイプ  

 ①晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)

 ②肝・赤芽球性ポルフィリン症(HEP)

 ③先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)

 ④赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)


急性ポルフィリン症…神経症状を起こすタイプ(腹痛や便秘などの腹部症状や、手足のしびれや麻痺などの症状)

 ① 急性間欠性ポルフィリン症(AIP)

 ② デルタ-アミノレブリン酸脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)

 ③ 多様性(異型性)ポルフィリン症(VP)

 ④ 遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)

症状と対処

ポルフィリン症は病型により症状も異なります。希少疾患でもあるため診断が難しく、誤診も多くなっています。根本的な治療法は現在ありません。健康的な生活を心がけることが必要です。以下、さくら友の会発行のポルフィリン症患者手帳(作成:近藤雅雄)より症状と対処方法を転載しました。

※ポルフィリン症を疑われる場合は、専門医またはポルフィリン症相談窓口へご相談ください。

■皮膚型

① 共通:日光などの紫外線被曝部に光線過敏性皮膚症状が見られる。症状誘発および増悪因子がある。

② PCT:長期間飲酒歴のある中年男性に好発/肝障害(C型肝炎の合併率が高い)/水疱・糜爛・色素沈着 等

③ HEP:PCTやEPPと類似の症状

④ CEP:乳幼児期の発症率が高い(遅発例もある)/水疱・糜爛・色素沈着等/脾腫・溶血性貧血の合併

⑤ EPP:小児期からの発症率が高い。/紅斑・腫脹 等/溶血性貧血・肝障害の合併に注意


1. 共通して遮光する。

2. PCTに関してはアルコールを飲用していれば、直ちに禁酒、ピルを服用していれば止める、など誘発・増悪因子を取り除く。2~3週に一度の割合で200~400㎖の瀉血療法。

3. EPPの小児例ではβカロチンが有効のことが多いが成人では副作用が生じる場合がある。肝機能も必ずチェックする。鉄剤投与は絶対禁忌

4. 肝障害の場合、ウルソ、コレスチラミンの使用

■急性型

① 腹部の疼痛・下肢痛・嘔吐・便秘(または下痢)

② 頻脈・高血圧

③ 不眠・不安・頭痛・発汗

④ 脱力・運動麻痺・手足の知覚麻痺 等

⑤ VP・HCP: 光線過敏性皮膚症状(無い場合も)/中枢・末梢神経障害/循環器障害、内分泌代謝障害、肝機能障害等


発作時は 誘発・増悪因子を取り除き、10%~20%ブドウ糖補液を2~3ℓ/日。 シメチジンの有効例は多いが、常用は副作用に注意。 軽症時は10%ブドウ糖を主体に各種ビタミン剤を加え、2~3ℓ/日の補液

※2013年にポルフィリン症の発作時の対処薬として「ヒトヘミン(ノーモサング)」が日本でも認可となりました


株式会社オーファンパシフィック

http://www.orphanpacific.com/news/20130823.html